シルクロードの天山南路に位置する街、クチャ。
飛行機の車窓からの街並み風景。

ここはクチャの玄関口、クチャ空港。
中国南方航空を利用し、ウルムチからやって来ました。

ターミナルビル前の駐機場にて筆者近影。

宿泊したホテルの部屋からのクチャ市内夜景。
庫車と書いてクチャと読みます。

このホテルで働いていたウイグル民族衣装の女性のポーターさん。
重い荷物を運ぶのは女性ではきつかろうに。

市内を走る三輪トラック。
荷台にはお婆さんとアヒルが二羽。

家族の移動は専ら三輪トラックで。

このテントがひしめく集まりはバザールの日曜市。

郊外へ出ます。
クチャ市内から西へ４０ｋ程に亀茲国仏教遺跡、キジル千仏洞がある。
亀茲(きじ)国は漢の時代から唐の時代にかけて今のクチャに存在した仏教王国。

キジル千仏洞は岩山にいくつものほら穴が掘られた石窟寺院で、石窟内には壁画が残る。
歴史書によると３世紀頃、亀茲国に仏教が伝わり、石窟は９世紀頃までの間に造られ続けた。
現在に残る石窟は２３０以上と言われる。

現在は保護のため、石窟の入り口はコンクリで補強をしている。
石窟内の壁画は観賞できるが、残念ながら現在はカメラ持ち込み禁止。
写真は外観だけ。

名高い壁画としては、キジルで現存する最も古い石窟、４世紀の第３８窟に残る、楽器を弾く天女達の壁画。
この石窟は音楽窟と呼ばれる。
もう一つは第８窟、十六剣士の窟に描かれた螺鈿紫檀五弦琵琶を弾く飛天。
この五弦の琵琶は正倉院に残る秘宝、世界に一つしかない珍品中の珍品。
古代インドから、ここ亀茲国を経由して日本に伝わった。

千仏洞を背景に鳩摩羅什(くまらじゅう)の像。
鳩摩羅什は亀茲国出身の仏教僧で、４世紀後半に活躍した。

鳩摩羅什の像。
仏教僧の中でも鳩摩羅什は、経典を翻訳し仏教普及に尽くした訳経僧で、数ある三蔵法師の一人。
同じ三蔵法師には名高い、唐の時代の玄奘三蔵がいる。

鳩摩羅什の像をバックに筆者近影。
石窟内の壁画は多くは残っていない。
イスラム教徒による破壊や各国の探検隊が壁画をはぎ取って持ち帰ったため。

キジル千仏洞はシルクロード：長安－天山回廊の交易路網の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている。

キジル千仏洞の近くにあった新疆亀茲研究院学術交流センター。

キジル千仏洞から次に向かうクズルガハ烽火台跡にかけて、地層がむき出しの地形が続く。

雨風に浸食された荒々しい渓谷は塩水渓谷と呼ばれ、景観地区となっている。

塩水渓谷とは、岩塩を含む地層から流れ出た雪解け水が渓谷の川で蒸発し、川底が塩の結晶で白く見える所から。

浸食し風化した岩山の奇観は鬼の住む魔界とされ、魔鬼城と名付けられている。

岩山に残る洞窟。
玄奘三蔵は天竺への道、亀茲国から天山を越えて中央アジアへ向かう途中、この塩水渓谷を通ったと言われている。

地層が４５度傾いた岩山を打ち抜いてトンネルを通している。

キジル千仏洞から東へ３０ｋ程の所に漢代の烽火台跡が残る。

烽火台は１６ｍの高さが有り、上部には見張り台の木組の跡が確認できる。
漢の時代、この地は亀茲国のオアシスを見下ろす絶好の位置にあり、敵からの襲撃をいち早く知る事ができた。

当時、烽火台は数キロ毎に建てられ、のろしを焚き、情報の伝達手段とした。
今に残るのはこの一つ。
二千年も土の遺構が残るとは、雨が降らないこの地だからこそだ。

遺跡内にあった行先表示板。
左：塩水渓谷、右：クズルガハ千仏洞、とある。

遺跡から見た塩水渓谷。
河床に塩が結晶となって白く光っている。

遺跡から見た塩水渓谷の風景。

クズルガハ烽火台跡はシルクロード：長安－天山回廊の交易路網の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている。

ここはクズルガハ千仏洞。
クズルガハ烽火台跡から南へ６ｋ程の所に残る石窟寺院。

クズルガハ千仏洞はキジル千仏洞より遅く、亀茲国時代の５世紀頃から８世紀頃までに造られた。

石窟の入り口は修復されている。
ここもカメラは禁止で、外観のみの写真です。

現在残る石窟は４６窟。
その中で、壁画が残る石窟は１１窟。

クズルガハ千仏洞付近の岩山風景。

再びクチャ市内。
ここはウイグル族の民家。
お宅訪問で、ウイグル料理を頂きました。

郷土料理、手延べ麺のラグ麺を打っている。
油を加えて小麦粉を練り、寝かした後、細く伸ばしていく。
両手の腕で麺を束ねて茹でる。

完成のラグ麺。
ラグ麺の具は肉は羊で野菜はピーマンやタマネギなど様々。
それらに味付けは、すり潰してとろみをつけたトマト味。

こちらはウイグル風のパン、ナン。
ピザの様に丸く薄く伸ばしてカマドで焼く。
塩味のプレーンの他には、タマネギのみじん切りを振りかけたタイプもある。

カマド。
インドのタンドールの様に、パン生地をカマドの内側に張り付けて焼いていく。

料理を作ってくれた民家の人達。
お婆ちゃん、お母さん、お嫁さん。

民家の裏手は果樹園が広がっている。

果樹園の一画には羊小屋があった。

メーメーと鳴いていた羊たち。

ヒヨコは放し飼い。
ナンの切れ端をあげました。